消えがてのうた

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zoom RSS 天井に書かれた''yes''

<<   作成日時 : 2007/05/13 21:42   >>

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急に東京から帰ってきた息子が美容院に行くと言う。
どうせなら、私も一緒にカットしてもらおうと出向いたいきつけの店。
先に終わった私は、パーマをかけている息子を待ちながら店においてあったコミックを読んでいた。

「ブラックジャックによろしく」というタイトルのついたその漫画の、およそ非現実的な設定にもかかわらず、どんどんその世界にのめりこんで読みふけり、気がつけば13巻。
その13巻めで出会ったエピソード。

画像
もとビートルズのメンバー、ジョン・レノンが初めてヨーコに出会ったのは1966年11月、ロンドンのインディカ・ギャラリー。
彼女の個展のオープニング前日だった。

がらんとしたギャラリーの一角にぶっきらぼうに置かれた、高さ2メートルほどの脚立。
ふと見上げれば天井からひとつの虫眼鏡がぶら下がっている。
いったい何のための虫眼鏡なのか、虫眼鏡で見るに値する何かが天井に書かれているとでも言うのか・・・
確かめるためには、その脚立を登らなければならない。
ジョンは登った。
そして彼は見つけた。
真っ白な天井に小さな文字で書かれた"yes"という言葉を。

友人の紹介で勝手にギャラリーを訪れたジョンは、いわば招かれざる客。
お互い相手が何者であるかも知らなかったにもかかわらず、二人はその場で恋に落ちた。

ヨーコの"yes"は何に対するyesだったのだろう。
すでに前衛的な芸術家として、音楽ではジョン・ケージと絵画ではアンデイ・ウォーフォールといった最先端の人々と交流のあったヨーコ。
見た人が思い思いに釘を打っていく過程そのものを提示した作品にも見られるように、彼女の発想は斬新で独創的である。
彼女のこの”yes”はすべての人への"yes”であり、同時にたった一人のための”yes”でもあるのかもしれない。
そもそも、その問いかけの内容さえも誰にもわからない。
特定の必要もない。

けれどもこの"yes"という言葉の響きには不思議な美しさがある。
信頼、受容の暖かさ、静かな肯定・・・

ジョンが感じた"yes"はいったいどんな”yes"だったのだろう。
ヨーコが受け取った"yes”は何を伝えたのだろう。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
ジョン・レノン
音楽好きなら誰でも知っている有名な話です。 ジョン・レノンとエルトン・ジョンが賭けをします。 ...続きを見る
娯楽の殿堂
2007/05/16 06:56

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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
前衛芸術はすべて説明するのを悪ととらえているようです。(あるいはやぼったいとでも言いますか。)鑑賞した人が何か意味をくんで初めて芸術として成立するようになっています。こちらに何か質問があって、それに対して「YES」という答えが用意されるのが物事の道筋です。オノ・ヨーコ氏に対して、何も質問を発していないのに「YES」ではおかしいですね。Oと1のデジタルの世界を勉強して芸術的な素養が落ちてしまったのかもしれません。論理的に考えると答えが出ません。そこで見る側にも想像力が強いられます。そこに強い狙いが秘められているのです。
何か悩みを抱えていて、芸術に答えを求めて人がふらっとやって来ます。ジョン・レノンはビートルズ活動の行き詰まりなどの公私に渡る悩みを抱えていたのでしょう。これからどうしたら良いのだろう。このままで良いのだろうか。と心の中で絶えず質問が沸き起こったのかも知れません。誰も、また周囲の状況も、それに答えを出せずにいます。ハシゴを上って、「啓示」を受けたのかもしれません。同じ芸術方面を志す人だけが分かるような言葉で‥。それがどんな言葉か分かりません。
ピーターキャット
2007/05/14 14:20
質問にはクローズな質問とオープンな質問があります。両者には大きな違いがあります。前者の方はYESかNOかやったのかやらなかったのかの二者択一の狭い答えを迫ります。逆に後者の方は質問に拾い意味があって、答える側は自由に答えることが出来ます。自分なりの考えを落とし込んだり、物事の違う側面を切り込んだり。オノ・ヨーコ氏は質問に答える形で、芸術鑑賞者に質問をさせているんだと思います。YESという肯定によって悩みに恩赦を与え、その人の悩める魂を救済するような形です。一介の平の会社員が芸術についてあれこれ話すのはおこがましい気がします。良く分からない事を分からないまま考えて見ました。ではでは。
ピーターキャット
2007/05/14 14:31
本文の内容といい、ピーターキャットさんのコメントといい、
私は全く知らない話だったので、興味深く読ませてもらいました。
前衛・・・とても響きのいい言葉なのですが、
音楽でも、なかなか評価されにくい分野かと思います。
オノヨーコにしても、彼女がどんな前衛芸術家だったのか
私も全く知らないでいたわけですから、同じですね。

ヨーコの"yes"には感動しました。
このことによって、後々彼女はレノン・ファンから
槍玉にあがったりはしなかったのでしょうか?
 
Stanesby
2007/05/15 08:16
◇ピーターキャットさん
  こんばんは。コメントありがとうございます。

ヨーコの"yes"は仰るとおり、不特定多数の「?」、いわば個々の迷いや悩みに対する個人的なメッセージに成り得るという意味で普遍的な作品になったのかもしれませんね。
ジョンが抱えていた問題は、音楽的なものであったのかもしれませんし、音楽を含めての生き方そのものであったのかもしれません。
たまたま目にした"yes"の文字は、行き悩んでいた彼にとって先に進むためのまさしく「啓示」だったのでしょう。
ジョンはすでに答えの近くにまで到達していたのだと思います。
でも、確信に至るまでにはなっていなかった。
その最後の逡巡の時、「確信」を与えたのがヨーコの"yes"だったのではないでしょうか。
ある意味ではこれは必然の出会いだったのかもしれませんね。
だってそれ以降も、あの日彼が凶弾に倒れるその日まで、ヨーコは彼にずっと”yes”と言い続けていたと、私は思うから。
そしてそれは、すばらしいこと、すごく素敵なことだと私は思います。
aosta
2007/05/15 21:55
◇ピーターキャットさん

>YESという肯定によって悩みに恩赦を与え、その人の悩める魂を救済  するような形です。

オノヨーコという人のは本質的にとても母性的な人であったのではないかと、私は勝手に思っています。
写真で見る限りは、意志的にきりりと結ばれた口元や強い目の光に男性的なイメージを持ったこともありましたが、二人が一緒に映っている写真はどれもゆったりと穏やかで、静謐な眼差しをしています。

魂の救済。
「ファウスト」の中のこんな言葉を思い出しました。
『永遠に女性なるもの、我等を引きいて昇りゆく・・・』
ジョンにとっての「永遠に女性なるもの」はヨーコその人だったのではないか、そんな風にも思っています。
aosta
2007/05/15 22:13
◇Stanesbyさん

>前衛・・・とても響きのいい言葉なのですが、
音楽でも、なかなか評価されにくい分野かと思います。

本当にそのとおりですよね。
前衛、という言葉の中にはいつも難解なイメージが付きまといます。
前衛的なものを否定する気は毛頭ありませんが、私の場合、ケージの音楽を聴いても慰められることはありません。ウォーホールの作品を見て面白いと思っても、美しいと感じることはありません。
いつの時代にも「前衛」なる芸術はあったはずですが、現在の前衛芸術はそのメッセージ性だけが前面に出てきて、美しさや精神性というものからは遠くなっているように思います。
今の時代、「芸術」という言葉の定義は難しいですね。
aosta
2007/05/15 22:38
◇Stanesbyさん

>後々彼女はレノン・ファンから
槍玉にあがったりはしなかったのでしょうか

確かに結婚当時、ヨーコに対する風当たりは相当強かったようですね。
ジョンを惑わした東洋の悪女だとか、ビートルズを解散させた元凶のように非難された時代もありました。
二人が出会い、結婚した1960年代は、まだ日本人への偏見や差別意識が顕著だった時代。ビートルズ・ファンの大多数からの逆恨み的攻撃だったともいえるかもしれません。
またこうした反感の中で、ヨーコの芸術が正当に評価されるまで、必要以上に時間がかかったことも事実なようですね。
aosta
2007/05/15 22:52
音楽において、ここ50年くらいの"前衛音楽"は、それ以前の音楽家のように、よりよいものを生み出そうとか、より美しいものを生み出そうとするのではなく、いささか過激な言葉を使うなら、美の追求よりも、ユニーク性の顕示といいますか、少なくとも、左脳で考えることなしに素直に癒される音楽とは程遠いような気がします。21世紀の新しいクラシック音楽(これも変な言い方ですが)も、前世紀と同じ路線でいくなら、僕は、中世〜ルネサンス〜バロック〜古典〜前期後期ロマン派までのクラシック音楽で充分なんですけれどね。
(=^_^=) ヘヘヘ
 
Stanesby
2007/05/15 23:04
◇Stanesbyさん

>美の追求よりも、ユニーク性の顕示といいますか、少なくとも、左脳で考えることなしに素直に癒される音楽とは程遠いような気がします。

このお言葉には100%同意させていただきます。
少なくとも、私にとっての「芸術」とは、喜びであり慰め。
精神をより高いところに導いてくれる高揚するエネルギーであってほしい。

見たくない、読みたくないと思えば目を閉じればいい絵画や文学作品と違い、通常の生活の中で音を完全にシャットアウトすることは不可能ですね。
聴覚は、人間の五感の中で一番最後まで残ると聞いたことがあります。
否応なしに耳に入ってきてしまう「音」だからこそ、もっと音に敏感に成るべきだと思います。

これは、まったくの私感に過ぎませんが「前衛音楽」が、ときに攻撃的に聞こえてきたり何かの破綻を助長するように聞こえてきてしまうのは、音のこうした一種暴力的に一方的な性格から来ているのでしょうか。

私も後期ロマン派までで十分幸せです (=^_^=)
aosta
2007/05/16 08:07
おはようございます。
今さっき散歩から帰りました!
頭がまだ正常に動いてないまま、aostaさんの記事、皆さんのコメント拝見して「う〜む」と唸っとります(笑)
この素敵なエピソードは知りませんでした。
私はあまり人に相談をしません。
自分の中でいろいろと悩みを転がす性格です。
その中で自分なりの答えを導き出すのですが決められないです。
そこで!
甘えなのですが、誰かに背中を押して欲しいのです。
たぶん、私も脚立を昇っちゃうだろうな〜って思います。
そこで見つけた「yes」は「大丈夫」の魔法の言葉のように私の中で大きな力になると思います。
理由も分からず足が向き、心に残る出会いや発見をする事があります。
何かしらそこには強い縁のパワーがあって、人やものを引き寄せるのかもしれませんね。
ちょびママ
2007/05/17 07:09
◇ちょびママさん

>誰かに背中を押して欲しいのです。

そうなんです。私も同じ!
ちょびママさんや私だけでなく、きっと誰でも同じ。
何かを決めるとき、何かきっかけがほしいんですよね。
ジョンとヨーコの出会い。
「?」と「!」の不思議なタイミングだったのかもしれません。
でも、脚立を上らなければ出会わなかった言葉でもある。
やっぱり自分で動くことで呼び寄せた、"yes"だったのだと思います。

>何かしらそこには強い縁のパワーがあって、人やものを引き寄せるのかもしれませんね。

何十年も生きてきて、この言葉、実感しています。(笑)
aosta
2007/05/17 12:45
このエピソード全く知りませんでした。
2人がその場で恋に落ちたというのは凄いですね。
でもこれは大成功でその後の音楽会に実に大きな影響を与えたのですものね。
ヨーコという人はあんなに奥深く、幅広く活動するとは、いつも驚いています。
aostaさん、美容院で一気読みだったのですね。
tona
2007/05/17 21:18
◇tonaさん

>aostaさん、美容院で一気読みだったのですね。

途中何巻か抜けてたりして手残念でしたが、久しぶりに一気読みした漫画でした。(笑)
13巻目の精神病患者と犯罪をテーマにしたストーリーの中で、若い時期にジョン・レノンの反骨にあこがれた初老の新聞記者が、回顧する形で語られたエピソードです。ストーリーとは直接関係のない話なのでしょうが、すごく素敵な出会いにすっかり感動してしまいました。
漫画自体は13巻で完結ではなく、まだ続くようですが、お店にはそこまでしかありませんでした。
ヨーコという人、私には理解を超えた幅広さでエネルギッシュに活躍しています。すごい人だと思います。
aosta
2007/05/18 06:38
FMいみずの録音の音声を聴いて、ここにまた戻ってきました。
aostaさんのお声、低いですね。ほんとにアルトですね。
私も決して高くないから、同じ高さかななんて、思ったりしました。
きんきん喋る人の声が苦手です。aostaさんのお声、ホッとしました。
それにしても第1回目のブログの紹介コーナーでのゲストだなんて、ほんとにびっくりしてしまいました。すごいことですね。
そして、かねがね疑問に思っていたことがここで解決しました。
「ブラックジャックによろしく」の漫画と書いてあるのに、どうしてジョンレノンとヨーコなんだろう・・・?ってずっと不思議でした。
テレビドラマ化されたり、子どもの漫画を読んで知っていた「ブラックジャック・・」とは過酷な現場の研修医の話ですもんね。偉く違う話だなあ と。一つ前のaostaさんのコメントで訳は分かりました。
lavie
2007/06/03 00:10
◇lavieさん  
おはようございます。

わぁ〜ん、聞かれてしまいました。
穴があったら入りたい・・・ ほんと、恥ずかしいです。
まさかあんなことになるとは。
最初のお話では、たぬくんがご自分の番組で私のブログを紹介して下さるはずだったのですが、それがせっかくだから番組にも出てと言うことになってしまいました。
あれよあれよのお話に訳もわからないまま、ぶっつけ本番(汗)。
でも、去年のオープンガーデンでお友達になったたぬくん、本当に心配りのできる暖かい方で、おしゃべりそのものはとても楽しかったのですが。
初めて客観的に聴いた自分の声。低い!
思っていたよりずっと低くて誰よりも自分がびっくり!この年になって知る事実に改めててショックを受けてしまいました。
aosta
2007/06/04 12:42
自分の声って、その昔、テープで取ったのを聞いた時、えっ、これが私の声?!って思いましたよ。
変な声って感じで。自分が喋って聞いている自分の声と口から音声として出た声は違うんですよね。
確かにaostaさんの声は低いなと思いましたが、朗読の声はよく響いて、きれいでしたよ。アナウンサーにでもなれそうでしたよ。
なんかスターみたいでした!
lavie
2007/06/04 22:36
◇lavieさん
  おはようございます。

自分の声、私も学生のころは時々聞くこともありました。
でもそのころはもっと早口で元気のいい話し方だったような気がします。今回はやたらと低い声ばかりが目立って聞こえてきてしまいました・・・

>朗読の声はよく響いて、きれいでしたよ。

ありがとうございます(涙)
少し元気が出ました(笑)

aosta
2007/06/05 08:22

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