消えがてのうた

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zoom RSS 雪の朝 / ピサロ 「エラニーの冬 ・朝」

<<   作成日時 : 2007/12/07 17:51   >>

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昨夜半から降り始めた雪が、今朝まで舞っていました。

カーテンを明けると、眩しいばかりに雪の輝く朝でした。
まだ淡い朝の光を浴びながら、真っ白に雪を被った樹々たちが、
すべての葉を落とした枝先を、しんと音もなく張り詰めた、
透き通るような冷気の中に差し伸べています。

はかない雪の結晶は、まだ昇りきらない太陽の光の中で、すでにその姿を緩めようとしています。
少しずつ雪は溶けて、輝く小さな珠を結び、さまざまな虹の色に煌めきながら、
かすかな音と共に静かに落下していきます。
雪の白は、すべてを包含する色、その白さはすべての色を受容して輝きます。
冷たく凍える青みを湛えた白があり、暖かな炎の金色を内在させる白があります。


画像

カミーユ・ピサロ 「エラニーの冬・ 朝、日光の効果 」 1895年 ボストン美術館



フランス、印象派の画家ピサロの雪景色もまた、そうした雪の多様な色が織りなす、まるで美しい紗の織物のような輝きを持って描かれています。
そこには、雪の冷たさは感じられません。

朝日に向かう赤い衣装の立ち姿は、水汲みの少女でしょうか。
小さな両手で手桶を重そうに下げています。
けれども、その重ささえ忘れて、彼女が見入っているのは雪化粧した冬枯れの木立です。
木々の梢は朝陽を反射して薔薇色に輝いています。
もしかしたら、樹の枝のどこかで、小さな小鳥が朝の歌を歌っているのかもしれません。




画像


真っ白だった雪景色も陽が昇るにつれて、あえかに消えていきました。
かろうじて間に合った一枚。
雪木立。
太陽に温められた雪は、柔らかに溶けて、大地深く滲み透っていきます。
そしてひとつの季節がめぐり、春の目覚めとともに再び空に帰っていくのでしょうね。
自然の営みの不思議な循環。
形を変え、時を経て大地を潤す、目には見えない大きな約束に私たちは護られているのだと、そんなことを教えてくれるような、初めてのはかない雪の朝でした。

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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
そちらはもう雪景色ですか〜。
こちらはまだ最後の葉っぱたちが枝にくっついて頑張っているという感じです。季節がめぐっていくことに、人の営みを感じるようになったのは、ここ数年・・・人生折り返し点を過ぎて初めて感じることなのでしょうか。

ピサロの白はいいですよね、明るい優しさがあるように思います。
うさみ
URL
2007/12/08 18:13
 今年の夏、家から1時間ほどの所にある美術館に来ていたカミーユ・ピサロの「春、朝、曇り、エラニー」と「秋、朝、曇り、エラニー」を観ました。今調べましたら、この「エラニーの冬」より5年後に描かれたようですね。個人的ですがあまり印象派は好みではありません。でも「エラニーの冬、朝、日光の効果」は是非自分の眼で観てみたいなあと思いました。冬、天気が良い日のきらきらとした空気、また雪が降っている凛々とした空気が好きです。そしてビバルディの「四季、冬、第2楽章」が重なると幸福感を感じることもあります。雪かきは大変なんですけれどね(笑)。今年の初雪は早かったですが、私の所はまだ積もっていません。冬も雪も好きですが、雪かきは少ない方が嬉しいです。
alex
2007/12/08 18:32
昨日の朝は予期しない雪でした。カラマツの枝に積もった雪が霧氷みたいでした。あがってきた太陽に夢のように消えてしまいましたね。
森の生活
2007/12/08 19:40
ピサロ!!、なんどもなんども、口の中で祈りを唱える気持ちで言っている自分でした。嗚呼!!、消えいく命のそれもすでに意識がないのに、妻の手を「どうしてこんな力が・・・」と驚くほどに握って逝った弟、ピサロの絵をこよなく愛した弟でした。そちらに降った真っ白な雪と、絵の中の雪は、きっと、かれを優しく包んで銀河の空に還してくれるだろうと信じています。
SONNET
2007/12/08 20:57
絵、素敵ですね。冷たい空気が鼻の奥をツーンとさせる感じがします。
お恥ずかしながら、絵画の教養が(あ、特に限らずなんでもだった。)
全く無いに等しいので、こちらのブログでいろいろ教えてください。
もっと、感性を磨きたいと思いました。
aosutaさんと一緒に色んな素晴らしい絵画を見てみたいです。
夢がまたひとつ増えました!わーい!!
ちょろえ♪
2007/12/09 06:33
美しい日本語で書かれた このブログに来るのに気後れして、たまにしか来ていません(笑)
雪景色、ピサロの絵の雰囲気と似ていますね。青空と混ざった雪の色、太陽の色と混ざった雪の色、温かい印象をくれますね(^^)
JF
URL
2007/12/09 09:35
◇うさみさん
 こんにちは。

>人生折り返し点を過ぎて初めて感じることなのでしょうか。

確かに若い頃は、季節のめぐりと人生とを重ね合わせてみるということはなかったように思います。
過ぎてゆくもののはかなさに共感するという感覚自体、若さとは無縁なものなのかもしれません。

ピサロの白、柔らかそうで暖かくって、ピサロだけの白ですよね。
aosta
2007/12/10 11:51
◇alexさん

ピサロの作品を実物でごらんになられたのですか?
私も正直、印象派の作品は大好きというわけではないのですが、このピサロの雪景色だけはお気に入りです。

雪が音もなく降りしきる景色を家の中でぼんやり眺めている時間、吹きすさぶ風の音とともに激しく踊る雪を見ている時間。
流れる音楽と一緒にに、また降りしきる雪と一緒にに、まるで重力から開放されて、浮遊しているような感覚になるときがあります。
何か身体を突き動かすような喜びが、ひたひたと全身を包んでいく幸せを感じます。

雪かき・・・
おととしまでは一生懸命やっていましたが、去年、がんばりすぎて腰に来ました(笑)・・・alexさんがお住まいの辺りはやはり雪が多いのでしょうか?
aosta
2007/12/10 12:13
◇森の生活さん

>カラマツの枝に積もった雪が霧氷みたいでした。

本当に氷砂糖か何かで出来ているみたいでしたね。
朝早いうちは空気までもが冷気の中で煙るようでした。

雪が降り、寒さが厳しくなると、木も山も輪郭がはっきりとしてきますね。
凛とした冬のたたずまい、心までろ過されていくようです。
aosta
2007/12/10 12:19
◇SONNETさん

弟さまの訃報を伺いましてからしばらくの間、私の心の中に静けさが水のように湛えられておりました。
なんとも説明のしがたい不思議な気持ちでした。

初めての本格的な積雪の朝。
ピサロが描いた雪景色そのものでした。
まるでこの世のすべての存在を清めるかのように輝いていた雪の日の朝、思い出したのは、ピサロを愛されたという弟さんのお話でした。

aosta
2007/12/10 13:45
◇ちょろえ♪ちゃん

>鼻の奥をツーンとさせる感じ

わかります、わかります(笑)
私が小さかったころは、今よりもっと寒くて鼻水が凍った記憶があります!
マスクなどしていると湿った息で眉毛やまつげもバリバリいっていたような・・・

最近は寒いといっても、暖房が完備していますし、外出時の防寒対策も万全となりました。それなのに、昔ほど寒風吹きすさぶ中を歩いたり、遊んだりしている子供の姿が見られなくなりましたね。
「子供は風の子」は、もう死語かしら?
aosta
2007/12/10 13:52
◇JFさん

>美しい日本語で書かれた このブログに・・・

美しいと言っていただけることは本当に嬉しく思いますが、それでJFさんの足が遠くなってしまっては元も子もありません(笑)。
どうか気後れなどと仰らずに、気楽にお出かけください。
本人にしてみれば、これはちょっと美文調にすぎないだろうか、嫌味ではないだろうかと、それなりに気にはしているのですが。

>雪景色、ピサロの絵の雰囲気と似ていますね

ありがとうございます。
雪化粧した朝の木立だからでしょうか。
aosta
2007/12/10 13:57
 この夏メルシャン軽井沢美術館に立ち寄ったら、思いがけず「印象派とその源流展」という企画をやっていて、ピサロの2点を見ることができました。東京富士美術館所蔵のものでした。国立西洋美術館にもいくつかあるのですよね?
 私は県内に住んでおります。でも残念ながら八ヶ岳ではなく飯綱山、ちょっと上がって戸隠連峰が見えるところです。
alex
2007/12/10 20:51
太陽ってすごい!
雪景色なのに暖かに感じます。
露玉の中に虹まで閉じ込めちゃうんですもんね〜
すでに雪景色でしたか。
積雪の少ない地方に住む私はわざわざ山間部にまで雪を見に行きます。
同じように思う人も多々いるようで、結構人が来てたりします。
冬の初めは雪が木を包み込むように
冬の終わりは木が身にまとった雪をふるい落とすように。。。
>目には見えない大きな約束に私たちは護られているのだ
この言葉、うんうんとすごく頷いてしまいました。
ちょびママ
2007/12/11 00:47
◇alexさん

ピサロは日本人に好かれるのでしょうか。
西洋美術館にも「冬景色」という題の絵があったと思います。
東京富士美術館所のほかに、山形美術館などにも(どうも個人的なコレクションらしいのですが)多数所蔵されているようです。
ピサロにとってエラニーは、特別な場所だったのでしょうね。
四季折々にさまざまなエラニーの風景を描いています。

alexさんのお住まいからは戸隠連峰が見えるのですね。
同じ長野県でも北の方はかなり雪が多いのではないでしょうか。
雪かき、女性にはかなりの重労働です。
ご無理なさいませんように。
aosta
2007/12/11 21:53
おお!雪景色ですね!
今年は、昨冬とは違いまあまあ降るのでしょうか??
ふくやぎ
URL
2007/12/11 22:01
◇ちょびママさん

おはようございます。
今朝起きたら外は霜で真っ白!
道はつるつるに凍って、朝の通勤時間帯は大変だったようです。
でもこの時間になると、屋根からはぽたぽたと霜が溶けて滴り落ちる音。
日の当たる庭の霜もすっかり消えています。
本当に「太陽ってすごい!」ですね。

>冬の初めは雪が木を包み込むように・・・

先日の雪はまさにこんな感じでした。
ふうわりと優しく暖かな雪。
子供の頃はよく雪を食べましたっけ。口の中で冷たく溶けていく雪の感触、懐かしいです。最近の雪は、何か汚染されているようで、あまり口に入れたくありません。今の子供はあの雪の味を知らないのだと思うと、少し寂しいです。
aosta
2007/12/12 09:29
◇ふきやぎさん

コメントありがとうございます♪
個人的なことですが、2年ほど水戸市内に住んでいたことがあります。
偕楽園の近くでした。
初めての冬、ほんの2,3センチの積雪が嬉しかった事を思い出しました。
aosta
2007/12/12 09:33
このカミーユ・ピサロさんの絵を始めてみましたけど、スーラの点描主義を受け継いでいるのかな?と思いました。
雪景色を赤や青で表現してますね。
僕もなぜか、雪を見ると冷たく感じません。それよりも、雪を毛布のように感じてしまいます。雪が綺麗だからでしょうか。
昨日(08/12/24)、黒澤明の映画の『夢』があって何回も見ているんですけど、雪女が出てくる夢で、雪女が「雪は暖かい。氷は熱い」と喋るシーンがあるんですけど、そうかもしれないですね。
雪が舞う姿は可愛いからでしょうか。雪女も美人と相場が決まってますし、雪景色も綺麗だ、と皆が言いますからね。透き通った氷に陽の陽射しが差し込んで輝く姿は水晶のようですからね。最近は雪が少なくなって、悲しいやら、嬉しいやら。
では。
坂本誠
2008/12/25 21:38
◇坂本さん

こんばんは。
「雪は暖かい。氷は熱い」・・・
なんだか詩のような言葉ですね。そして確かに雪を、氷を、そのように感じることがあります。
ピサロもスーラと同じく印象派の画家でしたから、色を光の粒子として分解してみるという共通した姿勢があったのではないでしょうか。
でもスーラの点描に比べると、ピサロの絵にはもっとたくさんの光を感じます。きのうこちらは雪でした。
さらさらで軽い乾いた雪です。ダイヤモンドが光を反射する七色の光を「ファイヤー」というようですが、今朝の雪はこのファイヤーにも似たさまざまな色に輝いていました。
aosta
2008/12/27 23:08

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