消えがてのうた

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zoom RSS 「ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタ」BWV1027-1029  (U)

<<   作成日時 : 2008/04/15 09:45   >>

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レナード・ローズのチェロにグールドのピアノ。
なんだか意外な顔あわせ、と思ったのは私だけ?

レナード・ローズとは随分懐かしい。
リン・ハレルやヨー・ヨー・マの師としても知られるローズだが、グールドと共演していたとは知らなかった。
私が聴くグールドはそのほとんどがピアノ・ソロで唯一の例外がメニューインとの一枚のみ。
ライナー・ノーツを見れば録音は1973年から1974年とあった。
ローズが55歳、グールドが41歳の演奏になる。
おまけにグールドとローズは長年に渡り、良き友人関係にあったとの記述もある。
メニューインとの親交も厚かったグールド、ローズとも親しい関係にあったらしい。
どうも私には「孤高の人、グレン・グールド」という先入観が強すぎるのかもしれない。
(多分、ただの勉強不足・笑)
それにしても、このジャケット写真は素敵だ。
ゆったりとくつろぐローズもさることながら、グールドの表情は穏やかで、
かすかな微笑の気配さえ見え隠れしている。


画像



バッハが意図した”独奏楽器に相対する旋律は右手、通奏低音の役割は一手に左手がその役割を担う”という試みは、左利きだったグールドにとって、望むところだったのかもしれない。
このCDではヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロに代わってチェロとピアノの演奏だ。
ガンバの心の奥底にまで落ちてくる重力のような求心力はモダン・チェロからは聴こえてこない。
しかしながら、包容力に満ちた艶やかな音色は洗練されてなんとも端正だ。

それにしても、豊かで軽快なチェロの響きが、時として旋律楽器と言うより伴奏のように聴こえてしまうのは
グールド贔屓の私の耳のせいかしら。
いや、どう聴いてもここではグールドのピアノが際立っている。
グールドのリズムが軽やかな水玉のように転がり、美しい波紋を広げていく。

けれどもそう思いながらもふと気がつけば、いつの間にかチェロとピアノは自由に、伸び伸びと戯れている。
グールドの個性を柔らかく暖かく解放しているのはローズのチェロ。
ふたつの楽器は、あるときは知的に、またあるときは熱く情熱的に、
まるで語り合うように豊かな表情と暖かな息遣いで呼び交わしている。
BWV1029の疾走感はヴィヴァルデイのコンチェルトを思わせる、白熱した情感に溢れている。
あ・うんの呼吸とはこんな演奏のことをいうのだろうか。
透明な岩清水のようにほとばしる砥ぎ澄まされたグールドのピアノが、水を湛えた深い淵のようなローズのチェロが、
私の心を躍動する喜びとともにバッハの世界へと導いていく。


ふたつのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ。
演奏する人や楽器は違ってもバッハはそこにいる。




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タイトル (本文) ブログ名/日時
J.S.バッハ 「ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ」 その1
最近お気に入りの一枚です。 ヴィオラ・ダ・ガンバは気鋭のパオロ・パンドルフォ、チェンバロ演奏はリナルド・アレッサンドリーニという最高の組み合わせ。 ...続きを見る
消えがてのうた
2008/04/15 09:46

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
・・・深いんですね。
アコースティックな楽器の微妙なニュアンスってあるんですね。
今までは、音楽としか感じてなかったな〜
pale moon
2008/04/17 01:01
ジャケットの2人の面々味わい渋く・深い雰囲気をもっている。素晴らしい面魂ですね。ジャケットがこのような物を言わないが、凄いものを伝達している。土門拳の写真を見るようです。被写体がよいので特に素晴らしく感じます。早速聴いてみたいものです。
イエローポスト
2008/04/17 07:48
おはようございます。
素敵なジャケットですね。「こちら」を向いているグールドの肖像を見たのは初めてのような気がします。彼は正面を向いていてもどこか違うところを見ているような気がしておりました。演奏の方も聴いてみたいです。
24hirofumi
2008/04/17 08:53
aostaさんの素敵なお話を聞いているうちに聴いてみたくなりました。とくにグールドが素敵なようですね。
森の生活
2008/04/17 09:02
しばらく忘れていた曲を思い出させて下さいました。もう何年になるのでしょう。そうですね私が毎日のように親しんでいたのは、たしか70年代でした。アルヒーフから出たばかりの、アウグスト・ヴェンツィンガーの(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、エドゥアルと・ミュラーの(チェンバロ)のLPを日夜、厭きもせずに聴いていたのは!曲の優しく繊細で、そして楽しい曲想に痺れっぱなしになった昔が懐かしいです。aostaの婉麗な筆致で書かれた曲の美しさに他言を要しません。曲を聴いてみたいと思う人が沢山出てきそうですよ。グールドのは娘がもって行ったきり返して来ません。無類のグールドフアンなのでもう諦めています(笑)いつ聴いてもバッハは心の糧ですね。
sonnet
2008/04/17 18:49
aostaさんの「さん」が、かな切り替えの時に消えがて?になってしまい「失礼の段深くお詫び申し上げ候」です。お許し下さい。コメント欄にも「確認」欄を設けて貰いたいとBIGLOBEに言いたいですです。
sonnet
2008/04/17 19:50
◇pale moon さん
 こちらにもコメントありがとうございました。

同じ曲でも演奏者や楽器が違うとまるで違う曲のように聴こえることがあります。この2枚も最初パンドルフォの演奏ばかりを聴いていたからでしょうか、こちらのローズ、グールド盤を聴いたときはまるで違う曲のように聴こえてきました。頭と耳が切り替わるまで時間がかかりました(笑)。
aosta
2008/04/17 22:00
多言を要しないとしたつもりが、他言とうっかりクリックです。最近、老耄?の兆しが濃厚になってきているようです。注意!しなければいけませんね。(笑)
sonnet
2008/04/18 08:50
◇イエローポストさん

ジャケット写真素敵でしょう?
二人の表情がなんともいえませんね。
その場の雰囲気がしっかりと伝わってくるとてもいい写真です。
このジャケット写真をアップしたくてブログをアップした、と言ってもいいかもしれません(笑)。
aosta
2008/04/18 09:13
◇24hirofumiさん

コメントありがとうございます。
グールドの写真、確かに斜に構えた感じのものが多いですね。
ストイックに目をそらす、と言う言い方が適切かどうかわかりませんが、こんなに自然体で写っている写真は仰るとおり私も初めて見たように思います。

>演奏の方も聴いてみたいです。

これはぜひ、お聴きください!
名演だと思います。
aosta
2008/04/18 09:18
◇森の生活さん

やっと陽が射してきたと思っていましたら、もう翳ってきました。
寒い朝ですね。ストーブ焚こうかしら?

グールド、とてもいいです。
ローズのチェロも決して引けを取らないと思うのですが、グールドのピアノの魔力の前にはちょっと分が悪いかもしれません。
でも1027の冒頭のチェロはすごく素敵。
ちょっとどきどきする予感に満ちた深い響きです。
aosta
2008/04/18 09:25
◇sonnetさん

アウグスト・ヴェンツィンガー、エドゥアルと・ミュラー、ごめんなさい、お二人とも始めて聞く名前です。
70年代といえば、まだ私は室内楽の魅力を知らない頃。
小説で言えば長編が一番で短編には全く興味がありませんでした。
音楽も文学も大上段に構えていた頃です(笑)。

でも自分で聞こうと意識した曲でなくとも、いつの間にか清水のように心の奥底に染み透って、記憶の深いところから懐かしさと共に思い起こされるのは何故なのでしょうね。

お嬢様がお持ちになったグールド、何かの機会にまたお聴きになれることを願っています♪

aosta
2008/04/18 09:41
◇sonnetさん

aostaのさんが消えてしまった・・・
どうぞおきになさらずに。私も良くあることです(笑)。
でも確かにコメント欄に確認の機能は必要ですよね。

>BIGLOBEに言いたいですです。

はい。私も声を大にして!!
aosta
2008/04/18 09:45
◇sonnetさん

>多言を要しないとしたつもりが、他言とうっかりクリックです。

他言を要しない、で立派に意味があるかもしれません(笑)。
確かめたつもりでも、ついうっかり、はよくありますね。こうしてお返事を書いていてもしょっちゅうです。自分のブログでも自分の返事にミスを発見して、削除して書き直しと言うことがままあります。
aosta
2008/04/18 10:14

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