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zoom RSS 「サマー・コミングル@蓼科」  ハーモニーの家にて

<<   作成日時 : 2008/08/02 07:08   >>

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「ハーモニーの家」は、八ヶ岳の麓、三井の森の木の間隠れに佇む小さなコンサート・ホールです。
渡邊暁雄さんのメモリアルホールであることは知りながらも、今まではその前を通り過ぎるだけだったのですが、先日初めてコンサートに行って参りました。

コミングルとは、プロ、アマチュアを問わず、さまざまな年齢、バックボーン、地域の壁を越えて音楽でひとつになる喜びを実現したいという指揮者の故・渡邉暁雄さんを中心に計画されたハーモニーの家の理念をそのまま形にした、小さくとも熱い集団です。
今回はそのメンバーによるサマー・コンサートでした。

二日にわたったコンサートの初日7月26日は二部構成。
ボアモルティエのコンチェルトから始まってモーツアルト、ブラームス、ドヴォルザークと続きヴィラ・ロボスの曲や声楽曲、興味深いレクチャーも挟んで、最後はバッハのブランデンブルク3番で終了、という4時間半(!)に渡るプログラムです。


画像

開演時間より随分早く会場についてしまった私は、ちゃっかりホールに入り込んで、練習中のブランデンブルクを聞かせていただきました。
私の大好きなバッハがどきどきするほど間近に響いてきます。迫力!
今回のコンサートをお知らせくださったMさんも真剣にチェロを弾いていらっしゃいます。



全プログラムを聴きたいのは山々でしたが、時間の都合もあって、ドヴォルザークの弦楽四重奏「アメリカ」の第一楽章を聴き終わったところで、後ろ髪を引かれる思いで席を立ちました。
しかしながら、この「アメリカ」のすばらしかったこと!!
低音弦が深く重く奏でる旋律と、ヴァイオリンの響きが、呼応しつつしだいに高揚していきます。
魂を揺さぶる張り詰めた音楽が、すさまじいほど鋭く斬り込んできます。
聴いている私の胸は息苦しいほどに打ちのめされて陶然としているだけ・・・
6月にNHK交響楽団を退団されたばかりだという茂木新緑さんの、重厚にして迫力のあるチェロ。
拮抗してうたうヴィオラ、ヴァイオリンの強くしなやかな粘りと光沢のある響き。
まさしく”鬼気迫る”としか言いようのない、緊張感にあふれたすばらしい演奏でした。


画像

北欧の建物をイメージする木造のホールには素敵なタピストリーが・・・




二日目の翌27日も、当初の予定をキャンセルしてまたもやコンサートへ出かけてしまいました。
プログラムがテレマン、ヘンデル、ヴィヴァルディ、と知っては、いてもたってもいられませんもの(笑)。

さて、その二日目の演奏は、と言えば・・・

まず、テレマン「フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオソナタ TWV 42:G1」。
昨日に引き続いて茂木さんのチェロに圧倒されながら聴きました。
一見淡々と弾いていらっしゃるかに見える茂木さんですが、その実、眼の光は強く、身体は全身で歌ってます。
昨日もすごい、と思いましたがやっぱり凄い!
ブルッフの「クラリネット、ヴィオラとピアノのための三重奏」。
渡邊あきさんのクラリネットがすばらしく美しい!
とろとろと滴るように官能的に響きながら清潔、クラリネットってこんなに素敵だったかしら?
目から鱗のうっとりする演奏でした。
そしてヴィヴァルディ「フルート協奏曲 ト短調 夜」。
フルートは東京交響楽団主席フルート奏者の佐々木真さん。
超絶技巧でありながら、フルートの音色は何ともやわらかく、またときに骨太に演奏され、闇の中の風、夜が呼吸する湿度と言った叙情を感じさせるような響き、ト短調という調性の持つ、ある種劇的な雰囲気と相まって「夜」そのものを彷彿とさせるすばらしいヴィヴァルディでした。

実は今回の演奏会で気になった人がもうひとりいました。
ヴァイオリン(ヴィオラ)の高橋宗久さん。
まだ学生さん(桐朋学園、洗足学大学院在学中)と言うことなのですが、彼のヴァイオリンは骨太にして繊細、素敵に光っています。
技術が確かなのはもちろんのこと、音楽に歌があります。
時々浮かぶ喜びに満ちた表情がそのまま彼の音楽になっています。

プログラムの最後、モーツァルトのディヴェルティメントK.136を経て、アンコールは演奏参加者32人全員によるパッヘルベルのカノン。
編曲はフルートの佐々木さん。
そうそうたるプロと一緒に、さまざまな経歴、性別、年齢のメンバーが思いをひとつにして奏でた音楽。
プロとアマチュアが、そして演奏者と聴衆が、音楽の喜びでひとつに繋がった幸福なコンサートでした。



余談ではありますが、渡邊暁雄さんとは不思議なご縁がありました。
お父様の出身地ということから、たびたび岡谷に足を運ばれた先生ですが、先生の伯母様にあたるMさん、いとこになるMさんのお嬢さんとたまたま親しかった私は、何度か先生とお食事をご一緒させていただいたことがあります。
代々諏訪高島藩の御殿医をしていらしたM家の、明治時代に建てられたというご自宅の居間に用意されていたのは、その度、手巻き寿司。
めいめい好きなネタを勝手に巻いて頂くスタイルがことのほかお気に入りの先生でした。
いまのように「おばさん化」する前、まだ20代も初めだった私、先生がお声をかけて下さっても、緊張のあまり借りてきた猫のように「はぁ。」とか「ふう(笑)。」としかお返事することができませんでした。
いま思えば恥ずかしいやら、情けないやらの思いでいっぱいですが、そんな間の抜けた相槌にも、あの柔和な笑顔で優しく応えてくださった渡邊先生でした。
すでにご高齢だったM夫人、お嬢さんのR子さん、そして渡邊先生も亡くなられてもう久しくなりましたが、先生の音楽への情熱と高い理想は、諏訪の地で毎年開催される北欧音楽祭に、そしてこの「ハーモニーの家」に、今も脈々と受け継がれているのだと思います。




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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
「サマー・コミングルinハーモニーの家」のネーミングこれだけでも素敵な予感に引き込まれます。ましてや渡辺暁雄さんの熱い理念がいいですね。このような企画があった場合には予告があると嬉しいですね。
これを拝聴したら、10年は長生きできそうですね。期待の新人も発見されたようで、本当に八ケ岳付近は自然に囲まれて翠風もハモッテいるところですね。実に羨ましい。
近くの練馬区大泉学園でもこの協会が関連するものがありそうです。
イエローポスト
URL
2008/08/02 08:20
すてきなコンサートでしたね。
森の中にたたずむハーモニーの家は何回かいったことがあります。森の家らしく木の香りのするすてきなホールですね。
森の生活
2008/08/02 08:21
aostaさんが羨ましいです。
年間何回くらい
コンサートに行かれるのですか?
ummmm・・・。
pale moon
2008/08/03 18:04
◇イエローポストさん

おはようございます。
今回は思いがけずも身近な場所ですばらしい演奏を楽しむことができ、本当に嬉しく思います。
夕立の多いこの季節、雷さえも演奏が終わるまで静かに待っていてかのタイミングで、二日とも演奏会終了と同時に激しい雷雨となりましたが、真っ白に跳ね上がる雨脚も、轟く雷鳴も、まるで私たちの高揚した気持ちに呼応しているかに思えました。
aosta
2008/08/04 07:59
◇森の生活さん

コメントありがとうございます。
このホールをすでにご存知でいらしたのですね。
何段階かに分けて緩やかに上昇する天井の曲線は、目にも美しく、音も柔らかく響くような気がします。平行面が少ないというのも音響的効果を考えての設計なのでしょうが、すばらしいホールだと思いました。
二日間とも、ほとんど最前列でかじりつきながら聴いておりました(笑)
aosta
2008/08/04 08:05
◇pale moon さん

ご無沙汰しております。
コメントありがとうございました。
コンサート、何回くらい行くのかしら?あまりかんがえたこともありませんでした。以前は演奏会と言うと著名な来日演奏家のコンサートしか念頭にありませんでしたので、金額的にもお高いですし時間も合わなかったりで、そうそう機会はありませんでした。
最近はわざわざ遠くまで出向かなくとも、今回のように身近な場所ですばらしい音楽を聴けるようになって本当に嬉しいです。
CDで毎日音楽を聴いているのですが、演奏が始まる前、胸が期待でどきどきしたり、演奏中、音楽の喜びをを共有していると感じるときの幸福感はどんなすばらしいCDにもないものだと思います。
音楽は生き物なんですね。

aosta
2008/08/04 08:16
aostaさん
 夏は、松本サマーフェスティバル、木曽音楽祭など大きな音楽祭を中心に、軽井沢、八ヶ岳など、避暑地にいろいろ多彩なプログラムの音楽祭が開催されますので、どれか一つ位は聴きに行きたいなあと思うのですが、いざとなると億劫な年?(笑)になっている自分を恨めしく感じてしまう今日この頃です。
 蓼科でのコンサート素敵だったのですね!演奏曲のどれもが魅力たっぷりではないですか!美しいハーモニーがこちらにも響いて来る気がしてなりません。

 私も、旧日本フィル時代の渡邊暁雄さんの紡ぎ出す音楽をどれくらい聴いて来たのでしょう。若き小澤征爾さんと交互に本当に沢山聴いて来たものです。ご存知の通り、シベリウスなど殊の外絶品の演奏は語り草ですものね。それらをリアルタイムで聴けた幸せを、いまも決して忘れることは出来ません。
 健康が十分の間に蓼科のメモリアルホールを一度は尋ねたいと思っています。
 話は替わりますが、10月に或る縁が出来まして、藍川由美さんのミニコンサートを聴きに行くことになりました。楽しみです。
 
sonnet
2008/08/04 12:13
通行人の とみ。 です。
わたしもこの夏、はじめてコミングルの蓼科のコンサートを体験しました。
茂木新緑さん、
チェロを弾いていらっしゃるとき
眼の光がとても強くなって
チェロが歌って
素敵でした。
テレマンの高橋君も 茂木さんのチェロに
安心したかのように のびのび演奏されてましたね。
音楽に親近感の沸く演奏会でした。

とみ。
2008/08/04 16:08
◇sonnetさん

おはようございます。
sonnetさんは本当にたくさんのすばらしい音楽をリアル・タイムでお聴きになっていらっしゃるのですね。羨ましい限りです。
夏の信州、というとサイトウ・キネンが有名ですが、すばらしいコンサートはそのほかにもたくさん。私も軽井沢の大賀ホールに一度行ってみたいなと思っています。今年は私も私事で忙しくしておりますが、来年にはぜひハオーモニー・ホールにご一緒いたしましょう。

渡邊暁雄さんと言えば朝比奈さんのお名前も思い浮かびます。
本当に大きな指揮者が綺羅星のごとく活躍した時代でしたね。
小澤征爾さんも諏訪にご縁のある方で、日本で最古の市民オーケストラ、諏訪交響楽団を指揮されたこともあります。ロストロポービチも小澤さんと諏訪で共演なさいました。毎年盛況のサイトウ・キネンも、始まりはそんな人と人のつながりの中から生まれたものだと思います。

>藍川由美さんのコンサートに出向かれる由、楽しみですね。
またお話を聞かせてください。

aosta
2008/08/05 07:23
◇とみ。さま

初めまして。
コメントを頂きましてありがとうございました。
とみ。さんはあの日、ステージの上においでになったのですね。
あんなふうに一体感を感じられる演奏会はそうそうないと思います。
32人という大勢の音楽を愛する心がひとつになって、大きく豊かに鳴り響くかのような、すばらしい演奏会でした。
あの場であの喜びを共有できた幸せを感謝しております。
本当に有難うございました。
aosta
2008/08/05 07:31

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