歌う喜び、アルトの悩み

毎週、礼拝のあと行われる聖歌隊の練習。
四月はイースター礼拝に備えての練習のほか、イースター前に行われる賛美集会での歌、予定されている結婚式が二つ。
一体いくつの歌を歌うことになっているのか、見当も付かないまま練習に突入しました。

音取りも出来ない、楽譜もろくに読めない私はすっかりソプラノのつもりでした。
今までの経験でも、ひとつの曲にじっくり時間をかけて練習する曲であればなんとかアルト・パートをうたっていたのですが、今回のように短期間で数多くの曲を練習する場合には旋律を歌わせていただくのが常でした。
ところが、今回は勝手が違います。
「はい。○○さん、アルトをお願いしますね。」
ちょっと待って!
練習なしでいきなりアルトなんてとんでもない!
しかし私のはかない抵抗はまったく聞き入られることなく、アルトに決まり!?

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今までの私だったら、「そんなに急にアルトは歌えません。」で強引に押し通していたと思います。でも私には、去年のクリスマスで歌ったバッハ、「主よ人の望みの喜びよ」で知ったアルトの美しさ楽しさがまだはっきりと残っていました。
耳にタコが出来るくらい、繰り返し「内声の美しさ、大切さ」を教えてくださったMさんの言葉も忘れることはできませんでした。
なにより、はじめから出来ないとあきらめてしまうのはいやでした。
アルトを歌いたいと、思いました。

2時間半。
ぶっ通しの練習。
いったい何回、「アルト、もう一度お願いします。」と繰り返したことでしょう。
どうしても隣で歌っているソプラノのYさんにつられてしまいます。
「綺麗にハモってるよ。」と言っていただいても、自分のパートを歌うことで、いっぱい、いっぱいの私にはほかのパートを聞いている余裕はありません。
何度繰り返しても、きちんと歌えている、という実感がないのです。
不安と哀しさが大きくなっていくばかり・・・

「最初から100%なんて誰も、望んでいないよ。
60%、いいじゃないか。ゼロから初めて60%って考えたらすごいことだよ。」
Mさんが真顔で言ってくださいました。
ふと肩の力が抜けました。
Yさんのソプラノが聞こえてきます。
バスもテノールも。
あ、歌えているかも・・・

当たり前に歌うことが出来る人にとっては喜びでもなんでもない、その小さなことが私にはとてつもなく嬉しい!
「アルトなんて歌えない。私は旋律だけ。」
そう思って、そう言い続けて、いったい何年を過ぎてきたのでしょう。
最初からあきらめない。
そのことを教えてくれたMさん。
私と私の歌を励まし、私の「もう一度」にいつも快く応えてくれた聖歌隊のメンバーたち。

私は今、「歌いたい!」と心から思っています。
まずは来週の賛美集会の歌2曲。
それから、さ来週のイースター礼拝。
そして4月末と、5月連休の結婚式。

歌えるようになるまで、練習する。
それだけのことなんですよね。
そしてそれがすべて。

この記事へのコメント

2007年03月26日 08:18
aostaさん、すてき!

>当たり前に歌うことが出来る人

そんな人なんて、いらっしゃらないのじゃないかと思います。

>ゼロから初めて60%

ほんとに、すごいことだと思います。
aostaさんの、すなおにすっとのびていく歌声。
支えてくださるパートの方々、
そして指導してくださる方を信頼して、ご自分をゆだねられる。
遠くから 応援してます。
Stanesby
2007年03月26日 08:23
ご苦労様でした。あっという間の2時間でしたね。Mです。(笑)
僕が言ったもっと辛らつな言葉は、敢えて伏せて下ったのですね。
「ソプラノとは決別しましょう。今日からはアルト一本で。」

とことんやりましょうよ。
アルトの魅力、練習の中でもお話した通りです。
旋律に使えない、お洒落な音、ロマンティックな音の動線、そしてそれらは内声の喜び。ミの音が延々続いても、一つひとつのミの音は、すべて違う和音の中のミ。その喜びを感じながら歌えるようになるまで、一緒に頑張りましょう。歌えるようになれば(音がとれますと)、他のパートの音と自分の音とのハーモニーを楽しむ余裕が生まれます。

(^-^ ) ニコッ
Stanesby
2007年03月26日 08:23
2時間半でした!
Stanesby
2007年03月26日 08:40
そうそう、お読みのみなさんのために、
aostaさんを弁護させていただきますが、
昨日の練習は4人だったのです。
つまり、aostaさんの新パートも、他のメンバーも、
各パート一人です。

私は指揮しながら、あるときはアルトを、そしてまたバスを、
音がとれてきたらテノールを歌いながらでした。(笑)

つまり、誰も頼れない。
頼れるのは自分しかいない・・・。

こういう環境が、aostaさんをより真剣にさせ、
そして音が取れ、歌えるようになるんですよね。

練習の中でもいいましたが、普通の合唱団が
半年かけてじっくりやっていくことを、2時間半で
やってしまったのです。
そして四人のハーモニーの綺麗なこと。

aostaさんはじめ、この聖歌隊のメンバーの
能力の高さに、僕はただただ唖然としているんですよ。
全員(と言っていいよね)が合唱初心者なのですよね。

\(◎∠◎)/オウ~ビックリデース
2007年03月26日 08:51
◇Suzukaさん
 おはようございます。

とても嬉しいコメントをありがとうございます。
今までの私は、「歌えないことは恥ずかしいこと」という気持ちがいつも先立ってアルトを敬遠していました。
耳だけが頼りの私には旋律だけが「歌」でした。
間違えることが怖くって、間違えたらみっともないって。
音楽が大好きなのに、自分では何もできないことが悲しかった。

不思議なことに、今回はそうした想いがあまりありませんでした。
気が付いたら、恥ずかしいという気持ちより、歌うことの喜びの方がずっとずっと大きくなっていたのです。
私はやっぱり音楽が好き。
聴くだけでなく、自分で歌ったら今までとは違う何かがきっと見えてくる。その何かが、私の大切な宝物になる。

道は遥かに遠いけれど、もう不安はありません。
2007年03月26日 09:13
◇Stanesbyさん 
昨日は本当にありがとうございました。

二時間半。あっという間でしたね。
昨日私があんなふうに思い切って歌うことが出来たのは、あの聖歌隊が大きな信頼の中にあったからです。
間違えたら笑われる?いいえ、笑う人は一人もいません。
「間違えていいんだよ。そしたらどこが歌えないのかわかるでしょう。」「アルト、すごく聞こえて来るようになったわよ!」
みんなが背中を押してくれます。
そしてStanesbyさんのご指導はいつもドラマティック。
それぞれの歌の、音楽の和音の意味、調性の秘密を嬉しそうに楽しそうに語ってくださいます。
いつも新しい気づきと驚き、そして喜びを教えてくださる。
だからぶっ通し2時間半の練習が、短く感じられまたその間ずっと喜びがあります。

>「ソプラノとは決別しましょう。今日からはアルト一本で。」
私はアルトなのだと、アルトを歌えることが幸せです。

>とことんやりましょうよ。
はい。とことん遣りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2007年03月26日 11:36
 連続で失礼いたします。
 何だか、コメントともども、すばらしいドキュメント映画でも観てるみたいで、読みながら、思わず手に汗にぎって応援してしまいました。
 最後は、いいところで、「続く」といった感じでしょうか・・・・。
 ぜひ今後の経過も、記事にしていただければ、うれしいです。

 それにしても、朝から感動させていただきました。
 以下はまったくの蛇足です。
 ご存知のように、バッハのカンタータの最後には、たいてい、単純な4声部のコラールがついてます。
 みなさんポカーンとするので、ふだんはあまり言わないようにしてるのですが、わたしはバッハのカンタータ中で、最もすぐれた核心とも言える部分は、このコラールに他ならないと思ってます。
 主旋律は、もちろんコラールそのものですが、他の3声部は、各曲ごとに、バッハ自身が、丁寧に丁寧に、全曲の結論としての内容にふさわしい和声付けを行ってます。
 旋律自体でなく、これを支える3声部こそが、これらのコラールたちに、他の誰もが書き得ないようなかけがえのない価値を与えているのです!
2007年03月26日 11:52
 思わずまた熱くなってしまいました。いつも、長文ばかり、申し訳ありません。

 でも、aostaさん、以前いただいたコメントで、
 「演奏を楽しむ、というには、程遠い」などおっしゃってましたが、
 いろいろな苦労も含めて「楽しむ」ことだと思うので、やはり、わたしなどからすると、ほんとにほんとにうらやましい!
 特に今日の記事などを読ませていただくと、しっかりと「歌って聴かせる」側の視点に立ったご意見をおっしゃってるような気がします。
 そうやって、みんな、遠くに行ってしまうのですね・・・・。
 わたしは、仕事をさぼって、カラオケにでも行ってきます。
2007年03月28日 19:27
aostaさんの思っていらっしゃることがよくわかります。
しかし、良き指導者Mさんやメンバーに恵まれて練習し甲斐がありますね。
aostaさんの努力の人という一面も好きです。

私は明日4ヶ月ぶりのコーラスですが、休んで怠けていたらすっかり声が出なくなりました。
2007年03月28日 21:51
Stanesbyさん、Noraさん、そしてtonaさん。
コメントありがとうございます。
急な用事で留守にしております。
お返事、もう少しお待ちください <(_ _)>
2007年03月29日 08:43
 aostaさん。
 わたしに関しては、お元気でいらっしゃることがわかればそれで十分ですので。
 また、このコメントも私信のようなものなので、余分なお心遣いはなさらないでください。
 くれぐれもお体にだけは気をつけて、ご自愛くださいますよう。
2007年03月29日 21:56
◇noraさん

お返事が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。
またお優しい心遣い、ありがとうございました。
 疲れはしましたが、一応元気に戻ってまいりました。

聖歌隊での練習、Noraさんの励ましが心から嬉しく、これからも一層がんばれそうな気がしています。
 内声の魅力、その大切さ、また難しさをPapalinさんに続いてNoraさんにも教えていただきましたこと、感謝です。
あのときは本当に不思議な経験をした、と思っています。
何かわからないエネルギーのようなものが心の中に満ちてきて、歌いたいという気持ちが溢れるようでした。
上手く歌えたかどうかは別の問題として、「うた」がそんな風に近づいてきてくれた経験は、初めてでした。
練習が終わってからも、その高揚した感情は、しばらくの間消えることなくわたしの体の中にありました。
幸福な時間でした。
2007年03月29日 22:07
◇Noraさん

長文のコメント、大歓迎です。(=⌒ー⌒=)
むしろ私からのお返事が長すぎてご迷惑ではないかと心配です。
おしゃべりと同じで、書き始めたら留まることを知らないaostaです(笑)

>そうやって、みんな、遠くに行ってしまうのですね・・・・。

私はむしろ、いくらかでもNoraさんに近づきたいと思っておりますのに(笑い)

>わたしは、仕事をさぼって、カラオケにでも行ってきます。

何を歌われたのでしょうか?
Noraさんのカラオケ、きかせていただきたいです!
2007年03月29日 22:23
◇tonaさん
 コメントありがとうございます。

確かtonaさんもアルトでしたでしょうか?
前にも一度、暖かい理解と励ましを頂きましたね。
ありがとうございます。

>aostaさんの努力の人という一面・・・

いえいえ。
好きなことしか努力できない怠け者です。
本来苦手なことこそ努力しなければならないのでしょうに、まだまだ修行が足りません。

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